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ハーレーのエンジンの歴史~フラットヘッド編~

ハーレー フラットヘッド

今年で生誕120周年を迎えるハーレーダビットソン。

長い歴史の中、マシンの心臓部といえるエンジンも姿かたち・機能を時代に合わせ進化させていきました。

そこで今回はハーレーエンジンの歴史を辿る第1回と題しまして、およそ今の形に近いエンジンの初期型である

サイドバルブエンジン、俗称フラットヘッドについて記載させていただこうと思います。

120年前といえば当時の日本は1904年の明治37年。

国は違えど、ハーレーがそのような時期から存在し、現在まで走り続けているわけです。改めてその歴史の長さに驚かされますね。

シリンダーヘッド

サイドバルブエンジンとは・・・

サイドバルブエンジンとは

初出はハーレーのビンテージエンジン代表格であるナックルヘッドよりも古い1929年。ハーレーエンジンの主流である吸排気をピストンの上にもってくるOHV(オーバーヘッドバルブ)に対して、ピストンリングのすぐ横にバルブがあったため、サイドバルブと呼ばれ、そのシステムを持ったエンジンを「サイドバルブエンジン」と名づけられました。

当時としては画期的なエンジンシステムであり、何よりもバルブとカム(※)との距離が短く、確実にバルブの開閉を行い、加えて各部品を設置するための面積が少なくて済んだため、エンジンの構造をコンパクトにまとめることができたのです。

燃料室が平たく広いため、圧縮を上げづらいというデメリットがあったにも関わらず、軽い!こわれにくい!メンテナンスしやすい!少パーツ数でコストが安い!といった多くの扱いやすさが指示され続け、他のエンジンが登場しながらも1974年までの約45年間製造されました。

シリンダーヘッド

※カム・・・エンジンの吸気バルブと、排気バルブの開閉に必要な卵型のパーツ

フラットヘッドの由来

フラットエンジン

ハーレーのサイドバルブエンジンはなぜフラットヘッドと呼ばれるようになったのか?

答えはシリンダーヘッドを開けてみるとわかります。

圧縮時に写真のようなピストンとバルブが同じ高さの横並びでフラット(flat/平ら)な状態になっていますよね。この見た目がそのままフラットヘッドという俗称の由来となったわけです。

また、ピストンとバルブのコンディションが一目でわかる構造とメンテナンスのしやすさ(特にシリンダーヘッドの冷却用フィンは、ただの「フタ」扱い)も長年愛され続けてきた理由のひとつです。

フラットヘッド各モデル名・製造期間・特徴

種類は大きく分けて、下記の5種類。一覧でそれぞれ見ていきましょう。

VL

VL

  • 1930 - 1940
  • 1200cc

スプリンガーフォークにシングルフレームという組み合わせの車両。750ccのWLのフレームに1200ccのエンジンを載せていたため、フレームがよく折れていたそう。今ではありえない、ハーレーの小話。日本の陸王のベースモデルです。

UL

UL

  • 1936 - 1945
  • 1340cc

ハーレー社のサイドバルブエンジンの中で、最大の排気量を誇るモデル。シリンダーが大きくなった事に伴い、ヘッドもより大きく、フィンも深く作られています。また、チェーンが左側に移動し、オイルタンクが独立して、シート下に付けられました。

WL

WL

  • 1937 - 1952
  • 750cc

その小さめな排気量から“ベビーツイン”の愛称で呼ばれたモデル。オイルタンクがガソリンタンクの右側にあり、シート下には6Vのバッテリーがあるだけなので、発電をマグにするとシート下はスカスカに。第二次世界大戦で各国へ送られた車両でその際のモデル名はWLA(AはARMYのA)他にもレーシング用のWR/WLDRなどがあります。

Kモデル

Kモデル

  • 1952 - 1956
  • 744cc

他のサイドバルブとはヘッドの形が違うモデル。52年新設計のハイパワー・エンジンを搭載したスポーツモデル。現在のスポーツスター直系のご先祖とも言えるエンジン。当時スピードウェイで240km/hを記録したという逸話も残っています。

サービカー

サービスカー

  • 1932 - 1974
  • 750cc

エンジンはWLAにも使われたタフなベビーツインが搭載され、初期型はスプリンガーフォーク、1958年からはグライドフォークに変更されました。自動車より小回りが効くとして、交通係のおまわりさんや郵便配達員、修理の作業車として広く使われていた車両です。

最後に

約半世紀以上も前のエンジンとなるため、現在では滅多に見る機会がないモデルではありますが、もし何かのイベントやミーティングなどで遭遇できたラッキーな方は、所有者様の許可を取り、どうぞじっくりと見ていただきたいと思います。

カスタムなどで、バイク全体のシルエットは変わっているかもしれませんが、ハーレー150年の歴史の中で大きな第一歩を築いたエンジンが目の前にあるのです。今までにどのような人が乗り、どのような世界を走り、ここまでたどり着いたのか。

そう考え思いをはせただけでも、ノスタルジックな気分に浸れ、非日常を味わえると思いませんか。


ハーレーはやはり奥が深い!!乗り物ですね。

シリンダーヘッド
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