今年の10月20日に発売され、約2ヶ月ですでに1,000台を受注しているというHarley-Davidsonの新型モデル「X350」と「X500」。
とくにX350は中型二輪免許でも乗れるハーレーとして発表当時SNSなどで大きな話題となりました。
今回はそんな発売されたばかりの「X350」にスポットを当てていきたいと思います。
後半では、先日開催されたヨコハマ ホットロッドカスタムショー(以下HRCS)内でお披露目された世界初(!)となる貴重なカスタム車両の写真も併せてご紹介します。
最後までどうぞお付き合いください。
Vツインエンジンではないハーレー
そもそもは今から5年前の2018年。
ハーレーダビットソン社の成長計画として提示された「More Roads to Harley-Davidson」内でアジアメーカーと開発を進めていくと同時に、アジア諸国へのさらなる進出を狙うプロジェクトの中枢を担うモデルとしてX350は発表されました。
排気量355ccとこれまでに比べて群を抜いてコンパクトなサイズに加え、ハーレー社の代名詞ともいえるVツインエンジンを廃したモデルに「これはハーレーではない」、「Vツイン以外は認めない」などの意見が出たのもわかる話。
しかし、今まで高嶺の花として存在していたハーレーを、カジュアルかつフレンドリーにグッと身近にしたのも事実であり、ハーレーデビューを目指す若年層やハーレーに乗ってみたかったが諸々の事情で手が届かなかったバイカーなど、エントリーユーザーが参入しやすくなる試みは大いに歓迎すべきだと思います。
スペック
スピード感あふれるタンクの形状やシンプルの造形など、そのビジュアルは往年の傑作ワークレーサー「XR750」からインスパイアされたもの。
新たにデザインされたXシリーズのロゴがタンクに光ります。エンジン形式は水冷4ストロークDOHC4バルブ並列2気筒。前後17インチのアルミキャストホイールとアナログ表示のメーターをセット。アジャスタブルなサスペンションを装備し、走行時の快適さにも抜かりありません。
ヘッドライトはクラシカルな丸型でフルLEDを採用。写真ではわかりませんが、イグニッションONで中央のHARLEY-DAVIDSONブランドロゴが浮き上がるように点灯するギミックあり。
ファイナルドライブは既存のハーレーの多くがベルト駆動であるのに対し、X350はチェーン駆動となります。その上部に付くチェーンガードのシュッとしたデザインがカッコいいですね。
カラーはオレンジ、黒、白、シルバーの4色を展開。その他、基本スペックは下記の通りとなります。
- ●排気量
- 355cc
- ●全長
- 2,110mm
- ●車両重量
- 195kg
- ●シート高
- 777mm
- ●出力
- 36馬力(27kW)
- ●タンク容量
- 13.5L
- ●トランスミッション
- 6速
- ●備考
- ABS(アンチロックブレーキシステム)搭載
世界初のX350カスタム
先でも触れましたが、先日行われたHRCSのHarley-Davidsonのブース内にて、世界初となるX350のカスタム車両「X350 Knight」が初公開となりました。
カスタムを担当したのは、日本を代表するカスタムビルダーであるHOT-DOCK CUSTOM CYCLESの河北 啓二氏。
ワンオフで制作されたフューエルタンクからフェンダーまでの流線的なフォルムが、これまでに河北氏の手掛けてきたナイトイェーガーシリーズを彷彿とさせるレーシーな印象のビジュアルです。
戦闘機をイメージしたライトグレーの外装パーツに、アクセントとしてオレンジ色のチェス盤モチーフのアートペイント。スタイルに合わせて小型化されたタンクには「Knight」の名にふさわしい馬のエンブレムサインが描かれています。
迫力のマフラーもワンオフ制作。タイヤは前後ともMAXXIS製に履き替えられ、よりダートな印象に。
純正ホイールに施されたペイントも要注目です。
他にもギリギリまでそぎ落とされたシート。タンクやフェンダー下のアレンジ、プラモデルなどにもよく見らえる陰影を強調するために用いられる「黒立ち上げ」ペイントなど、真剣な遊び心がカッコよさをさらに強調させていました。
(左から) アメリカから来日したSUICIDE MACHINE COMPANY の Guardado兄弟。
HOT-DOCK CUSTOM CYCLES の河北啓二氏。
wedge_motorcycle の二平隆司氏
イベント当日はカスタムを担当したビルダーたちが登壇し、トークセッションも繰り広げられました。
河北氏いわく「グレーを少し明るくし過ぎたかな」とのこと。
またカスタムの順番は?の質問に、「まずタンクを外した姿を見て、図に起こし、カスタムのイメージを組み立てていく」などの貴重な話や、実際にX350のライドした際には、撮影していたカメラマンたちを置き去りにして、どこかへ走り去ってしまったという裏話なども飛び出し、会場をドッと沸かせていました。
外装パーツの換装によって、イメージを大きく変えることが可能と分かったX350。
発売されたばかりではありますが、ベース車両としてこれからのハーレーのカスタムシーンと、ビギナーからベテランまで幅広いユーザーを獲得し、モーターサイクル業界全体を盛り上げてくれる存在になるのではないでしょうか。
そんな期待と想像をふくらませてくれるハーレーダビットソン「X350」との出会いの時間でした。